28日(土)29日(日)と日本グループダイナミックス学会、そこで宇津木妙子氏のお話を聞くことができました!チームマネジメント

28日(土)は、午前7時に自宅を出発。午前8時ちょうど発の「のぞみ」に乗り、東京→埼玉に向かいました。
目的地は、川越にある東京国際大学。同僚の発表には間に合わず、正午からの日本グループダイナミックス学会の総会から参加。
総会後、13:45~15:45にわたり、シンポジウムが開かれました。
タイトルは「チーム・マネジメントの心理学」と題して、企画者は角山剛氏(東京国際大学)、山口裕幸氏(九州大学)、司会者として山口氏、そして話題提供者として池田浩氏(福岡大学)、三沢良氏(電力中央研究所)、宇津木妙子氏(東京国際大学)、指定討論者に相川充氏(東京学芸大学)で行われました。
三者三様の日頃の研究と実践のお話が聞けて、とても興味深かったです。
とりわけ、宇津木妙子氏のお話は、これまでの実績が示すように、何度にもわたるオリンピックにおける監督経験からの生々しいお話、そして、宇津木氏のもつエネルギッシュの熱く語る話は、私には魅力的でした。
野球やソフトボールに関心をもつ我が息子夫婦にも聞かせてやりたいと思ったほどの話でした。
私なりに当日メモ書きで書いたマインドマップをさきほど、簡単に描き直してみました。どれほど、宇津木氏の話を再現できているかどうかはわかりませんが、私なりの整理にはなりました。また、チームマネジメント、特に、リーダーとしての視点を考える上で、興味深いものになりました。
下記のマインドマップが宇津木氏が話された内容をまとめたものです。
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おおまかな話としては、まず、
「何のために」このチームはプレイをしているのかを明確にすること、それは、「理念」、「方向」、「目標」、「目的」、「夢」などの言葉で言い表され、数えていませんが、何度も何度も語られていました。いかに明確な方向付け(ゴール)とそのゴールの共有化がチームでできているかという問題をさしているのでしょう。
次に、よく出てきた言葉が「自己分析」であったり、「個性」という言葉であったように思います。いかに、リーダー自身が自分を知っているか(自己分析しているか)、そして選手一人ひとりの違い、個性を理解しているかということが重要だと語られました。
そして、ゴールの明確化と共有化、選手の理解には、会話が必要であること、このことも結構大事にされているということでした。「体当たりする」という言葉も使われていました。きっとその対話のプロセスは、私たちには計り知れないものがあるかもしれません。ただ、印象的であった言葉には「ふりをさせない」という言葉が強く語られました。
わかったふり、知っているふり、「・・・ふり」、それは、あいまいなままにはしないという、宇津木氏の厳しい姿勢を表している言葉とも言えるでしょう。
3つめの柱として、「チームワーク」、これが主題でも合ったのですが・・・
まず、厳しい共同生活やチームとしてのプレイから、「ルール」という言葉が飛び出しました。
・挨拶すること
・時間を守ること
・心配りをすること
特に、3番目の心配りには、他者とともにいること、わがままを棄てて犠牲になること、でも、がんばれる自分を作ること、なかなか難しい課題になるだろうと思いますが、こうした態度がいかに作れるかが、きっとチームプレイでは大事になるのでしょう。
もう一つ「チームワーク」の中で、自分ができること、自分の役割を知っていること、できることをあげられました。状況が変わった中で、何が今必要であるか認識をして、その役割を果たせる柔軟さが求められるのだろうと思います。
まさに、以上のことは、ベックハードのGRPIモデルの話から解釈することもできるでしょう。
まず、Goal(ゴール)を明確にすること(それは、方向性とコミットメント)、そして、Role(役割)が明瞭になること(それは、明瞭さと統合)、Procedures(手続き)が明確になること(それは、システマティックになることと革新がおこせること)、最後に、Interaction(チーム一体の関係になって)が深まること(それは、信頼と凝集性)が大切であると言ったチームマネジメント論です。それを、マネジメントするのが、リーダー(監督)であると言ってもいいのかもしれないなと、改めて、宇津木氏の話を聞きながら、GRPIモデルを再確認した次第です。
(それは、・・)内の用語は、M. Starchevich & S. Stonell, (1990)の論文から津村なりの訳をしたものです。
そして、そのチームマネジメント中で、「感謝」という言葉と「人間」教育、とか人間への見方、宇津木氏の言葉では、「人間とは弱いもの」という見方も、根底に必要であることが話されていました。
この「感謝」という概念は、チームを診断するときに、以前から大切ではないかと思っていた言葉でもあります。いかに、今置かれている環境(人を含めた場)に対して「感謝」の念をもって取り組めているかと言うことは、チーム活動には大切になるのだろうと思われます。それは、リーダーとメンバーとの関係においても、「感謝」という気持ちが双方に起こっているかどうか?
こうしたことを測ることができるチーム診断尺度ができることを、または作り出していくことを、今後の課題にしたいものです。