Tグループとは No.058 グループプロセスへの働きかけ:Reddy(1994)の介入のロードマップ
Reddy(1994,津村監訳,2018)は、グループ活動へのファシリテーターの働きかけ(介 入)の焦点づけの流れを介入のロードマップとして図示しています(図)。彼は、グループプロセス・コンサルテーションの仕事としてのロードマップとして例示していますが、何らかの目的をもつグループが、課題を達成することを促進する働きを担うファシリテーターはもちろんのこと、グループのメンバーにとってもタスク志向とメインテナンス志向の働きの焦点づけ過程を考えるには有用なフロー図になります。
タスクとメインテナンスの働きかけの流れを示すロードマップ図より、グループの活動のはじめにチェックインを行い「この仕事をするに際し、今どのように感じているか?」を全員発言するように促し、メンバー相互の今の気持ちをわかちあうことはメインテナンスプロセスへの大切な働きかけになるのです。
そして、グループ形成初期には、課題や目標などの明確化、各メンバーの役割の明確化や、またそれを達成するための手順などを含めた課題達成のための働きを促進するタスクプロセスへの介入が必要になります。
その後は、メインテナンスプロセス視点から、すべてのメンバーが参加しているか?リーダーシップや影響関係はどのようになっているか?などに着眼した介入を行います。メンバーが積極的な参加をしているようならば、タスクプロセスの視点に移り、メンバーからアイデや意見などを生成するように働きかけることを意図した介入をします。
しばらくすると、メンバー間に葛藤が起こっていないかとか、エネルギーが落ちてきているメンバーがいないかなどメインテンスの働きかけを意識することが重要になり、引きつづき課題達成に向けてアイデアがいろいろと出された後で、それらのデータを明確にしたり、優先づけをしたりしながら終盤の活動に入っていきます。
その後、新たな意見が出されているか?これまでの中で気持ちの表明がなされているか?などのメインテナンスプロセスのチェックをしながら、タスクプロセスの意思決定の段階に入っていきます。そして、納得のいく結論を得ているのか?メインテナンスの視点からのチェックをしながら仕事を終結していきます。仕事を終結した後も、メンバーが今回の仕事でどのように感じているかを話し合うチェックアウトとして、それぞれメンバーの思いを語り合うメインテナンスのプロセスが大切にされる必要があります。
こうした一連の流れを、Reddyはグループプロセスコンサルテーションのロードマップとして示しています。基本的には、介入の視点として、タスクプロセス志向の動きとメインテナンス志向の動きに交互に着目しながら、適切なタイミングで介入を行っていくことが有効であると考えられています。(つづく)