Tグループとは No.056 グループプロセスへの働きかけ:グループの発達と関連した2つのプロセスへの働きかけ(介入)

 コンテントとプロセスをどのようなバランスをもって、グループ活動に関わることが適切なのかといった質問はよく聞かれます。グループ活動におけるプロセスを扱う限り、このバランスは揺れ動きながらそのときそのときにコンサルタントやファシリテーターが状況を認知しその状況に適切だと思われる介入を行うことになります。

 Reddy(1994)は、著作の「インターベンション・スキルズ(津村監訳、金子書房,2018)」では、前話(No.055)に記述したように、グループへの介入の視点として、「タスク(課題の)プロセス」と「メインテナンス(関係の)プロセス」への働きかけを提案しています。グループ活動、グループプロジェクトにおいてコンテントには関わらず、これら2つのプロセスへの介入を通して、グループのパフォーマンスを上げることと、自らのグループがプロセスに気づき学ぶことを支援する働きを「グループプロセス・コンサルテーション」と呼んでいます。

 Reddyは、グループの発達過程をグループメンバーの視点からではなく、支援者の視点から考えて、介入の留意点を紹介しています(図)。

 時間軸として、①セットアップ、②仕事の遂行段階、③成果や発表のデリバリー段階、④終了・終結祝福の段階と4つの段階が考えられています。
 ①セットアップ段階では、タスクプロセスへの働きかけを多く行い、グループのプロジェクトの目的やミッションを明確にし、役割や手順など課題達成のプロセスを明確にしながら、メインテナンスプロセスへの配慮をすることへの留意が必要としています。
 ②仕事の遂行段階になると、タスクプロセスへの介入よりも一人ひとりのニーズや関係性に着眼したメインテナンスプロセスへの働きかけを意識し、それとは対照的にタスクプロセスへの介入量を抑えるように考えています。
 ③成果や発表のデリバリー段階に入り、仕事の終盤には、仕事や課題の成果の完成度を高めるためにタスクプロセスへの介入をメイテナンスプロセスよりも意識的に行うことを提唱しています。
 ④終了・終結祝福の段階では、一人ひとりのグループ活動への貢献を祝福することを通してメンテナンスプロセスを大切に扱えるように意識的に関わることを推奨しています。

 このような考え方は、グループプロジェクトに関わるファシリテーターやコンサルタントにとっては、役に立つ考え方になると思います。(つづく)