Tグループとは No.033 JOHARIの窓:私とあなたのかかわりを表し、その中で私を発見するモデル
JOHARI (ジョハリ)の窓のJOHARIとは、このモデルを発案したJ.LuftとI.Harryの2人の名前を結合し【Joe(Joseph)+Hari(Harry)=JOHARI】として誕生しました。
ラボラトリー方式の体験学習を実践する1つの目標は、学習者相互に信頼関係を構築することがであり、その過程で何が大切であるかを体験しながら学び実現していくことです。お互いの関係の中に信頼を創り出すプロセスを図式的に表し、また個人やグループの成長を考える際に明確でわかりやすい枠組みを与えてくれるモデルが、「JOHARIの窓」です(柳原2005)。
「JOHARIの窓」は「心の4つの窓」ともよばれます。これは、図に示されているように、私自身のことを自分と他者とのかかわりの中でとらえようとするモデルです。すなわち、私のことを私自身が知っていることと知らないことがあり、また私のことを他人が知っていることと知らないことがあると考えています。
図に示されているように「I.開放の領域(Open)」、「II.盲点の領域(Blind)」、「III.隠している領域(Hidden)」、「IV.未知の領域(Mystery)」と4つの領域(窓)と命名されています。
初期のグループでお互いにさまざまな懸念を抱いているような浅い関係においては、「I.開放の領域」が狭い(小さい)と考えられます。他者との関係の中でより自由で信頼できる関係を築きあげるとともに、ありのままの自分でありうるためには、「I.開放の領域」を広げることに取り組むことが大切になると考えられます。
そのためには、「III.隠している領域」の領域を小さくするための力として自分が知っていることや気づいていることを正直に語るといった“自己開示”と、「II.盲点の領域」の領域を小さくする力として他者から自分自身のことについて気づいていることを伝えてもらう “フィードバック”の働きが重要になります。
この“自己開示”と“フィードバック”が柔軟に行えるコミュニケーションを促進することにより、相互に信頼した関係づくりとありのままの自分の姿を発見したり思いがけない自分に出会ったりすることが可能になるのです(柳原、2005)。
ファシリテーターの仕事として、この2つの行動を促進することが人間関係づくりの学習場面では大切になると考えられます。また、このことは学習者間の人間関係だけなく、ファシリテーターと学習者との関係においてもこのモデルに示されているように相互の信頼関係を創り出していくことが重要になります。
それはファシリテーターからの一方的なフィードバックが行われるのではなく学習者からファシリテーターに対して感じていることや気づいていることを受け取ることを通して、学び合う関係が生まれるのです。
「自己開示」「フィードバック」に関して、もう少しつんつんが考えていることをお伝えしたいと思っています。(つづく)