Tグループとは No.014 セルフサイエンスから体験学習過程の「分析」の視点を学ぶ
トランペット・セオリーのステップ4の「パターンの機能」やステップ5「パターンの結果」を検討するワークを通して、自分のパターンや自分とった行動の意図や意味を吟味する方法を学ぶことができました。
このことは、ラボラトリー体験学習の「体験」⇒「意識化」⇒「分析」⇒「仮説化」のサイクルの中で、「意識化」された自分の行動や思考、感情、それらの行動のパターンを見出した後、なぜ自分はその行動を行うのかを考えるステップなのですが、結構この分析の仕方を学習者(参加者)に提供するのが難しいのです。つんつんは、人間関係に関わる諸理論や諸モデルをお話して、それらのモデルと関連付けながら、参加者の体験を一般化することを支援してきました。そうした中で、「分析」する手法として、「パターンの機能」や「パターンの結果」というタイトルのステップの中で意図や理由、その結果を考えるセルフサイエンスのアプローチはとても学びになりました。
セルフ・サイエンスでは、自分にとって不快なパターンを見つけ出すことが1つの大きな課題になります。そのパターンを見つけ出すために、行動・思考・感情を調べていくのです。いろいろな条件を通して、生まれてくる行動、思考、感情を眺めていくと、ある状況の中で自分の行動がもたらす不快なパターンを発見し、Weinteinが提唱するフォーマットに書き出すことを推奨されます。
「パターンの明確化」後、その「パターンの機能」を探求します。「パターンの機能」として考えることは、その行動を行うことで恩恵をもたらしてくれること、そのパターンが働いている目的は何かを吟味します。セルフ・サイエンスでは、どのような行動にも、意図があり、ある目的をもってその行動を行っていると考えます。たとえば「あなたはそのパターンからあなた自身のためにどんなことを得ていますか?」「そのパターンはあなたがどうなることからあなたを守ってくれていますか?」などと問いかけることで検討します。
不快な行動をやってしまっているならば、それは自分に対して疑問視している(self doubt)こと、たとえば自分のふがいなさや能力のなさなどを覆い隠そうとする働きがあると考えます。その否定的な信念のことをクラッシャー(crusher)と呼び、積極的にそのクラッシャーから守ってくれているという自分にとってはとても大切な働きをしていると考えています。
そのパターンによるそのような恩恵を得ている共に、そのパターンに支払っていること、何か犠牲にしていることは何かなど、その行動の結果を考えてみることが「パターンの代価、結果」のステップです。
「パターンの機能」を明確にした後に、そのパターン、行動を行ったことで支払っている代価(プライス)を探求します。その行動を行うことで、自分自身が失う体験であったり、その結果何が得られているかを考えることであったりします。これを「パターンがもつ代価(プライス)、結果」と呼び、パターンの機能と対比しながら自分の未来を探求するのです。
体験学習の循環過程で、「分析」することの視点をもう少しシステマチックにもちたいと考えていたつんつんにとってはとても魅力的な視点を提供していただけたと思っています。「パターンの機能」と「パターンの代価、結果」を探求し、比較してみることで、自分はどちらに歩き出すか、考えることができるのです。今のままでよいとするのか、新しい行動を考えようとするのか、結果として、新しい自分の行動を考えてみようとすると、次の「仮説化」のステップに進むことができるのです。新しい選択肢を創り出すために、自分の疑念としてもっている「クラッシャー」とは正反対の信念、自分を肯定する信念(再方向づけ、re-direction)を構築することが大切になります。その新しい信念をもとに、新しい自分の試みを模索し、実践し評価する過程がステップ6,7,8と進むのです。
思いがけず、G.Weinstein氏と出会うことで、「『プロセス』を捉える視点」、「プロセスの視点から自分を語る発達段階」、「体験学習のステップの『分析』の仕方」を、学ぶことができたのです。このことは、今日まで、私がラボラトリー体験学習を紹介し、学びの場を創るためにはとても有効な視点を提供してくれているのです。(つづく)