易経に学ぶファシリテーション(10)
■「天の時、地の利、人の和」の三条件を満たすこと■
あっこちゃんは、(大)自然はいつも何も包み隠さず、変化のお手本を示してくれていると話されます。人間がそれに習うならば、人生で起こることも、わかりやすく、やさしいものになるとおしえてくれているのです。「易簡」ですね。
しかし、私たち人間はそうのように自然の法則に素直に従おうとしないものです。少しでもたくさんのものを持ちたくなる欲が生まれたり、こうなりたいああなりたいと望みや期待が沸いてきます。私自身のそのお手本のようなものです。陰と陽を見誤って、冬の凍った大地に種をまくようなことをしてしまうものです。
「天地人三才」という言葉があるそうです。「三才」とは三つの才能、働きをさしています。孟子の言葉に「天の時は地の利に如かず、地の利は人の和に如かず」というのがあります。ものごとを成就するためには「天の時、地の利、人の和」の三条件を満たすことが大切だと言われているのです。
「天の時」とは時、時代、タイミング、「地の利」とは環境、場で、とりわけ大事なのが「人の和」が大事だと言われています。時と環境が整って、人の働きが加わってこそものごとは成就するのです。人間は天と地の中間に立っており、易経は天道、地道、人道、つまり天の働き、地の働き、人の働きの3つの陰陽がぴったり合ったときに変化が起こり、新たなものが生み出されると考えられています。
ファシリテーターは、まさにこの3つの働きをしっかりと見定める必要があるのでしょう。天と地との間に立っている一人の人間として、天の時と地の利をいかに用いるかといった課題・テーマがあると言ったらいいでしょうか。そして、もっと欲張った考え方かもしれませんが、天の時と地の利の間にいるメンバーやグループの陰と陽を見定めながら、自然の法則に逆らわないように働きかけることができればすばらしいファシリテーションであるといえ、またファシリテーターになるのでしょう。