易経に学ぶファシリテーション(05)

■グループの中に「変易」を観る■
 グループの変化とファシリテーションのありように、易経における「変易・不易・易簡」があると書かせていただきました。ここからはあっこちゃん(2012)を参照させていただきます。易経の「易」とは、変わる、「変化する」と言うことだそうです。そして、「易」の一字には、「変易」「不易」「易簡(簡易)」という3つの意味があるそうです。
 「変易」とは、この世の万物は一時たりとも変化しないものはなく絶えず変化し続けているということです。
 「不易」とは、「不変」ということで、すべてのものは変化しているが、春夏秋冬の季節のめぐりや朝昼晩といった一日のめぐりのように、一定不変の「変わらない」法則性があるということです。
 「易簡」とは、「易しい、簡単」という意味です。「変易」「不易」があらわす変化と不変の法則に基づいていることを私たち人間が理解できれば、何事もわかりやすく、この世での生活も行きやすくなるということです。
 グループ体験に場面を移してみましょう。ファシリテーターが関わるグループは、まさに一刻一刻変化しています。グループのメンバーとしている人の気持ちや考え、行動が一瞬一瞬変化します。そして、そのメンバーの変化がグループの変化をもたらします。またグループの変化が個人のありようも変えていきます。そこに起こっていること、それをプロセス(人間関係の過程)と津村はよんでいますが、そのプロセスは川の流れのように変化をし続けているのです。グループの何か気になることがメンバーの中に起こり、そのことを発言すれば、その状況は変わります。気になることを公にしなければ、またさらにその状況は変化し、そのメンバーにとってよくない状況はさらに深刻になっていきます。このグループのプロセス、対人関係のプロセス、個人のプロセスに着目するということは、ファシリテーションにおいて、働きかけてもかけなくても、グループやメンバー個人、またメンバー間の関係はすべて「変易」であるということをしっかり認識しておく必要があります。
==========ずいぶん前の記事ですが==========
グループ:その誕生から死までのサイクル「集団行動」、「グループの課題・問題」、「対人的問題」と「リーダーシップの問題」のそれぞれの次元における集団発達のモデルの考察を行っている。それらによると、基本的には、「ステージⅠ:幼児期(Forming)」、「ステージⅡ:青年期(Storming)」、「ステージⅢ:成人期(Norming & Rerforming)」の位相があることが示されている。さらに、最終ステージとして「変容(Tranforming)」の位相があることを示している。
1987 南山短期大学人間関係研究センター紀要『人間関係』Vol.4,p.130-136. R.C.Weber 1982 The group: A cycle from birth to death. In L.porter & B.Mohr(Eds.), Reading book: For human relations training, NTL Institute.
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http://jiel.jp/wp2/minilec-pdf/group-tanjosimade.pdf