まぼろしのTグループのねらい
3月12日(土)午後4時に大学に帰ってきました。本来、1週間のTグループの研修を南山大学人間関係研究センターとして開催する予定でした。開催の中止を判断せざるを得ませんでした。講座に参加することを長い期間を使って準備してくださっていた方、今回のTグループの参加への期待や思いが強く、参加を希望してくださっていた方々に迷惑をかけることになったこと、お詫びと私どもの思いやミーティングの状況をブログに書くことで、少しでも私どもの判断のご理解を得られるならばと思い、ここに記すことにしました。
言葉足らずのところがあるかと思いますが、少しでもご理解頂けることを願っています。
昨日(3月11日金曜日)12時30分に大学を出発し、諏訪湖SAで、宮城沖の地震のニュースを聞き、諏訪湖SAで少し長めの揺れを感じる地震を体感し、それでも、清里に何の心配もせずに向かいました。
長坂のインターチェンジを出ると、信号機が停電のために機能していませんでした。清里に向かえども向かえども、信号機は点滅せず、コンビニエンスストアーの電機もついておらず、停電状態を走り抜けて、清里、清泉寮にたどり着きました。
清泉寮の多くのスタッフに迎えられ、停電になっていることを告げられました。そして、停電による食事のサービスの限界、暖房器具の問題があることが告げられながらも、最大のサービスを受けることができました。
食事前の私どものスタッフミーティングの判断として、情報をできる限り収集すること、そして、第一報を参加者に、午後6時までに発信することを決めました。そのために、どのような可能性が考えられるのか?単に、中止とするのではなく、きっと、このTグループの5泊6日の期間を確保するのに大変な思いをされたであろうこと、また私どものTグループへの参加の強い思いを抱きながら参加しようとしてくれている人がいること、こうしたもとで、できる限り開催をする方向で考えることにしました。
まずは、第一報は、明日の朝午前7時に第二報を発信すること、また開催するとしても、開催予定の午後2時受付を午後5時頃の受付で、開催を遅らせることにしました。また、参加者の事態の状況によっては、キャンセルをされても、参加費の全額返金をすることもお伝えしました。
そして、ろうそくの灯りのもと、停電の中で最大のホスピタリティあふれる清泉寮のスタッフのサービスのもと夕食をとることができました。感謝です。
夕食後すぐにスタッフミーティングを開き、その後の情報収集(といっても、停電状態で、TVもラジオもつながらず)の限界のなか、今後の方針について話し合いました。
その中で、トレーナー(ファシリテーター)、オブザーバー、事務局、それぞれのスタッフとしての、このTグループトレーニング参加への思いも語りながら、翌日開催するならば、どんなねらいでTグループの研修を行うのかも話し合いました。
参加者の状況、これは、阪神大震災の体験者のスタッフの声も聞きながら、こうした災害の被災の状況によって、ずいぶんとらえ方が違うこと、また被災地だけでなく関係者のいろいろなつながりの中で、さまざまな思いで、研修参加があるだろうとのこと、また他のスタッフのそれぞれの経験談を語りながら、「なぜTグループをおこなうのか?」こうした問いにお互いに応え合いながらミーティングをしました。
また、この間に、少しでも情報を得るために、頼りの携帯のワンセグTVのかすかな電波を頼りの情報収集、そして、参加者の中で、連絡を取れる方から情報収集。
すべての議論はかけませんが、いろいろな角度からの議論が行われました。
その中でも、一つの結論、明日、もし、Tグループを実施するならば、どのようなねらいを参加者に掲げるか?話を展開させながら、下記のねらいにたどり着きました。
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・今ここでの プロセスに気づき プロセスにかかわり プロセスから学ぶ
プロセスとは
グループの中で起こっていること
私と相手の関係の中で起こっていること
私の中で起こっていること
〜ともにある関係、社会づくりをめざして〜
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上記のねらいは、まぼろしのねらいになりました。
昨夜のミーティングでは、まだ、停電の状態でした。明日の朝、午前6時に新館ロビーに集合して、第二報(最終決断)をすることにしました。
暖房がない中、薪を燃やし、暖をとりながらのミーティング、そして就寝でした。
翌朝、津村は、午前5時20分、まだ停電であることを確認し、中止をせざるを得ないとあきらめていました。ところが、午前5時30分、一斉に電気が復旧しました。部屋に灯りが灯ったのです。これで、もしかしたら、開催が大丈夫だろうと・・
予定通り、朝6時にロビーに集合。清泉寮の支配人の方より、施設の状況の確認。また、被災地の被災の状況の大きさの理解。また、公共交通機関の状況把握をしながら、再度ミーティングを行いました。
議論の中では、この1週間のスケジュールを確保するために、ずいぶん前からお休みをご苦労されてとられ来られる方がいるのではないか、また私ども講座への期待を強くもって参加してくれる方がいるのではないか?来られる人に来てもらってせっかくの学びを場を確保するのが私たちの立場ではないか?いや、この状況を再度考えてみることがあるのではないか?今、余震が続く中で、開催することが適切なのだろうか?などなどたくさんの議論が交わされました。
その中で、
・施設(会場)が十分な受け入れ状況(特に暖房などのボイラーの問題)ではないこと
・東京からの中央線、小海線が一部復旧していないこと
・余震が続くこと
そして、地域によろ被災の差があるにしても、昨日話したねらいの中で、またこの日本の状況の中で、そのねらいを、しっかりと共有しながら研修を行うことができるのだろうか?「〜ともにある関係、社会づくりをめざして〜」といったこと。参加者とともに過ごす貴重な体験からの学びの時、そして真実を生きようとする6日間、心のどこかでひっかかりや違和感(何か?今ここにいることの意味?疑問?)などを感じて過ごすことにならないだろうか?
開催することの意味とリスク、中止することの意味とリスク、議論に議論に重ね、中止の結論をさせて頂きました。
津村自身、連絡できる方には直接連絡をさせて頂きました。
その中で、思いがけないことがたくさんありました。
・北海道から関東に入り、埼玉に来られ、今避難所にいる参加者
・昨夜はオフィスに泊まり、社員の安全を確保して、これから自宅に帰ろうとする方
・今やっと自宅にたどり着いた方
・昨日の米国からのフライトが成田に着かず、別の空港にとどまっている方
・一方は、これから清里に出かけてくださろうとしている方
・急遽の中止で、jRのキャンセルをしなければならない方
たくさんの事情を抱えながら、11日、そして12日の朝を過ごされていた方がいることがわかりました。
参加者のすべての思いをキャッチすることはできませんでしたが、本当に、今ここのプロセス(起こっていること)に関わることの難しさと,その中で少しでもひとり一人の状況を知りながら、結論を得ようとすることの大切さ、また、思い切って行う判断の難しさと大切さ、たくさんの学びを得ることができました。
本日、午後5時頃名古屋(日進)の自宅にたどり着き、ひと息ついて、Twitterで、Tグループ研修の中止のお詫びと案内をいたしました。そのTweetに対して、「支持します」というメッセージを何人かの参加者からもらえたことが、今回の決断への、私の救いのメッセージになりました。
感謝いたします。
1泊2日のスタッフミーティングだけのTグループ研修でしたが、参加者の皆さんには、申し訳ないのですが、私にとってはとても大切な清里清泉寮での研修になりました。また、参加者の方とも、思いのほか、近く感じることができた(勝手な津村の思いですが) 1泊2日のTグループ前泊研修になったことに感謝します。
最後になりましたが、被災地のみなさんのご健康とご回復をお祈りいたします。
そして、この1泊2日の大切な時を過ごすことができた7人のスタッフ(自らも含め)に感謝いたします!