プロセスをキーワードに教育を再検討・・・
ラボラトリー方式の体験学習を定義するときに、キーワードとなるのは、「プロセスとコンテント」とりわけ「プロセス」、それと、「体験学習の循環過程」であると考えています。
ここのところ、Reddyさんのグループプロセスコンサルテーション、Sheinさんのプロセスコンサルテーションを、力を入れて、ご紹介してきています。
まだまだ奥の深い話題がたくさん、お二人の著作からは読み取れそうです。
引き続き、プロセスコンサルテーションの紹介をしながら、「プロセス」を理解すると共に、「プロセス」に気づく力を育てていかなければと考えています。やはり、目の前の出来事(グループダイナミックス)を理解し、そして、そのプロセスに介入することは、認知的な理解と同時に、体験的に学ぶ必要があるのでしょう。
学校教育現場に、少々乱暴に、「ラボラトリー方式の体験学習」の導入を紹介し、GPの活動を通して、いくつかの学校現場で取り組んでいいただいた結果をもとに、もう少し、プロセスエデュケーションの再検討をしていきたいと考えています。
その第一弾として、3月2日(火)午後6時より、南山大学(名古屋キャンパスD棟)にて、私が話題提供で、学校教育現場にラボラトリー方式の体験学習を導入した人間関係作り授業のカリキュラムを考えると題して、来ていただいた方々とディスカッションができればと考えています。
その話題提供の一つに、以前に別のブログで紹介している、下記のような話題も出してみようかと考えています。
教育心理学会の年報にも書かせていただいた、グループアプローチ(グループワークを用いた人間関係に関わる授業展開)に関する、主観的な比較ですが・・・
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ソーシャルスキルトレーニング(social skills training: 以下SSTOと略)、
構成的グループエンカウンター(structured group encounter: SGEと略)、協同学習、
協同学習も米国から入ってきたJohnson, Johnson, & Holubecが提唱する協同学習と
東大の佐藤学先生が提唱する協同の学びと、それぞれ違いがありそうで興味深いところです。
そして、それらとラボラトリー方式の体験学習(experiential learning using the laboratory method: 以下ELLMと略)の違いがありそうです。
上記のグループ学習をちゃんと定義&紹介をしなければいけないのですが、省略させていただきます。
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上述した実践研究以外にも様々な取り組みがあげられるだろうが、学校教育実践の場でグループを用いた代表的な取り組みを概観した。ELLMは、他の3つの取り組みとの比較において、幾つか特徴的な取り組みであるといえるかもしれない。SSTとの比較においては、SSTでは、学習するターゲット(目標)は基本的には教師が決定するが、ELLMでは、学習者が学ぶための目標や課題を決めること、また学習の内容が特定のスキルというよりは複雑な課題(目標)を扱うことになる。SGEとの比較においては、SGEでは、自己開示が行われ、情緒的な人間関係を体験するグループとして機能することをめざしているが、ELLMにおいては、自己開示の有無をも含めプロセス・データと扱い、その体験から学ぶことを促進する学習集団として機能することを促進する点に違いを見出すことができるであろう。Johnson, Johnson & Holubec(1993)の提唱する協同学習では、協同であることを教師の指導のもと学習者が体験することをめざし、学修目標と態度目標の両目標の達成を目指そうとしているが、ELLMでは、協同体験も含め競争などさまざまなグループ体験を通してそのプロセスから学ぶこと、またその学びは人間関係の視点に限定して学びを深めることなどの違いを見出すことができる。佐藤(2009)による学び共同体づくりでは、教師が生徒に背伸びとジャンプがおこる教材と問いかけによって、グループによる話し合いで、対話的実践(モノとの、他者との、自己との)の学びの実現を通して、互恵的な学びや学び合う関係性の変化が生まれると考えている。ELLMでは、教科といった内容から離れ、関係性に焦点をあてたグループ体験活動(実習)を行うことを通して、自他との関係のみならず、グループといった現象の理解を深め、個人・グループの成長に取り組むことをめざしている。
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といったことを描いてみました。
きっと、いろいろなご意見が出てくるだろうと推察しています。
また、もっともっと一つ一つの取り組みを研究する必要がありそうです。
こうした比較研究ももう少し腰を据えて行いたいのですが、いつものごとく、ばたばたの事態でのリサーチで恥ずかしい限りですが・・・