E.H.シャインさんのプロセスコンサルテーションも(2)
E.H.シャインさんの著書「プロセス・コンサルテーション」の第一章の終わりに、本書で示されている10の原則の内、シャインさんは5つの原則を提示されています。
1.常に力になろうとせよ。
2.常に目の前の現実との接触を保て。
3.あなたの無知にアクセスせよ。
4.あなたのすることはどれも介入である。
5.問題を抱え、解決法を握っているのはクライアントである。
そして、第二章の「援助関係におかえる心理力動(サイコダイナミクス)」という章を書き、コンサルタント(広くは援助者)とクライエントとの不均衡な関係、特に初期の関係を認識し、それをいかに対等な関係になるように相互の関係構築をするかが大きな課題であるという提案をしています。
援助関係のはじまりでは、援助する側が『ワン・アップ(一段高い位置)』におり、援助を求めている人は『ワン・ダウン(一段低い位置)』にいると述べています。
その相互の関係の中で起こることをしっかり捉え、対等な関係づくりを目指す必要が有るのだが、邪魔する反応や感情が起こっていますと。
クライエント側には:
・憤慨や自己防衛:私のことは、そう簡単にはいかない・・・など。
・問題を分かち合ってくれる喜び&安堵感:理解してくれてうれしい・・・など。
・依存感情:何をしたらいいですか?・・・など。
・感情転移:これまで出会った援助者役に立たなかったら今度の人も・・・など。
援助する側には:
・時期尚早な手助け(権威を用いて):こんな風にすれば・・・など。
・期待に応えた過剰な反応:それは、大変なことですね・・・など。
・自己防衛への圧力をかける応答:うまくいくのですから,私を信じて・・・など。
・関係構築への拒否:よくわからないけど、これをやってみたら・・・など。
・逆感情転移:前のクライエントと同じように応答・・・など。
こうした反応や感情を経験しながら、それぞれの当事者は他方をどのように受け入れることができるかを相互に確かめ合う、テストし合っているとシャインは言っています。
そして、この過程において大切なことは、「ゆっくりと時間をかけ、相互受容を高め、互いがより対等の立場になる方向で関係が移行していることを十分保証していくことである」と。
そのための重要な介入は、積極的質問を行い、援助自身の無知の領域にアクセスして、その無知を少なくしていく努力が必要になるのです。
シャインは、この章の最後に、「流れに身を任せよ」と記しています。
このことは、まさに両者それぞれと、両者の関係におけるプロセスに気づき、相互受容を目指したプロセスへの関わりをいかに大切にするかということではないかと理解しています。
小さな文字で見にくいかもしれませんが、私が描いた第二章のマインドマップです。