E.H.シャインさんのプロセスコンサルテーションも(1)
Reddyさんの「インターベンションスキルズ」の著作を手がかりに、グループプロセスコンサルテーションを議論できればとこのブログに書き込んでいます。
Reddyさんのお話の中には、E.H.シャインさんの「プロセス・コンサルテーション」の2冊の著作は紹介されることが多いです。このシャインさんの著作は、今年度、大学での授業でテキストに使い、マインドマップを受講生一人ひとりが描きながら、シャインさんのプロセスコンサルテーションを学んできました。
そこで、シャインさんの「プロセス・コンサルテーション」も時折、このブログでは、紹介していくことができればとも考えています。Reddyさん曰く、シャインさんのアプローチはマクロなグループプロセスコンサルテーションであり、Reddyさん自身のアプローチはミクロなグループプロセスコンサルテーションという言い方をしています。
まずは、E.H.シャインの「プロセス・コンサルテーション:援助関係を築くこと」の第一章「プロセスコンサルテーションとは」をマインドマップとご一緒に概略を描いておきます。実際は、邦訳が出ていますので、そちらをご覧下さい。『プロセス・コンサルテーション:援助関係を築くこと」E.H.シャイン(著)稲葉元吉・尾川丈一(訳)白桃書房です。
マインドマップを描き始めて、1年足らずですが、なかなかイラストなど絵を書き入れることがまだまだできないですね。絵などを入れることで、ずいぶんマインドマップの印象も変わり、また、描いた内容の理解と記憶も遙かに深化するのだろうと思いながら・・・
マインドマップは、まだまだ修行の身です。
さて、内容は、シャインは明快に、まず「プロセスに気づくこと」の大切さを語り、そのプロセスを改善することが、組織開発(O.D.)の大きな仕事であることを述べています。
いかに「今ここ」に起こっていることプロセス、その現実を見ること・把握することができるか?これが、主たるテーマです。多くの場合、現実を見ることを妨げる要因(希望的観測、固定観念、予測、期待、など)があるからと語っています。確かに私たちは、期待や予測で物事を見たり、判断したりしてしまいます。昨日、書いたメンタルブロックの話もこれにあたるのでしょう。
シャインさんは、コンサルタントのモデルには、3つのタイプがあると彼は述べています。
情報-購入モデル:専門家モデルです。
クライエントは、調査などにより情報提供を求め、その情報・サービスに代価を払うのです。これが成功裏に終わることはなかなか難しいようです。
なぜなら:
クライエントが自らの求めていることが何かわかっているかというと?
それに対して、適切な情報をコンサルタントが提供できるかというと?
依頼するコンサルタントをクライエントが査定できるかというと?
コンサルタントが提供する知識を実施することをクライエントが考慮するかというと?
提供された情報など知識が、現実データの根拠があるかというと?
その代替モデルとして、プロセスコンサルテーションを提案しています!
もう一つは、医師-患者モデルです。
クライエントの問題を診断し、処方箋を出すコンサルテーションです。これもなかなか成功裏に終わることは以下の理由で難しいようです。
なぜなら:
問題を適切に診断できるか?
診断のための情報をクライエントからすべて開示してもらえるか?
医者・患者関係で、診断を素直にクライエントが受け入れるか?
診断をするプロセスも未知の影響を与えることになる?
医者に勧告された変更を患者が変更できるか?
その代替モデルとして、プロセスコンサルテーションを提案しています!
プロセスコンサルテーションとは、
クライエントが自分自身の内部や外部の環境の中で起こるプロセスに気づき、それを理解でき、行動できるような関係をクライエントと築くこと。そして、クライエント自身が定義した状況を改善できるようになること。とシャインさんは定義しています。
いわば、クライエントが自らの問題に気づき、理解し、改善・変化することを学習することを学ぶことを援助することなのです。
それは、「魚の釣り方を学ぶ」といった、アージリスやピーター・センゲなどのいうダブルループ学習の支援を指しているのでしょう。
Reddyさんのグループの成長、個人の成長も、やはりこうした学び続けるグループや個人という目標があるのでしょう。
そして、その原点には、ラボラトリー方式の体験学習、とりわけTグループがあることが十分推測できます。