Tグループとは No.073 誕生から75年さらなる発展のためのパラダイムシフトに向けて:ナラティヴ・アプローチ(Narattive Approach)とは(1):ナラティヴ・セラピーとの出会い(Part 1)

このシリーズも終わりに近づき、ここ数年関心をもち、学び始めた「ナラティヴ・セラピー(アプローチ)」のお話を書かせて頂きます。
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 つんつんが、「ナラティヴ・セラピー」を知るきっかけは、AIアプローチを共に学ぶ仲間から、あるフレーズを教えてもらったことからかなと、ふんわり思い出します。そのフレーズは、セラピスト、もしくはカウンセラーのもとに相談者がやってきた時に、「何があなたをここに来させましたか?」というような問いかけで始まるという質問でした。ナラティヴ・セラピーの中では、「外在化」の質問と言われるものです。

 奇妙な質問をするものだなあと。そして、その仲間は私にいくつかの類似の質問を問いかけてくれました。その時に、充分にその問いかけが腑に落ちたわけではないのですが、その背景にある2つの考え方に興味を持ったのです。

 1つは、一般にカウンセラーは、やって来た相談者に「今日は何を相談されに来られましたか?」「どんなことがお困りごとですか?」「お悩みごとは何ですか?」と、相談者が話そうとしていることをそのように聴くだろうと想像することは難しいことではありません。

 これらの問いかけには、相談に来られた方は、「相談事」「困りごと」「悩み事」がある人と最初から決めてしまっていること、そして、セラピストやカウンセラーは「相談事」『困りごと」『悩み事」を聴いてそれを解決する人、相談者は支援を受ける人という関係(主−従関係、依存関係)が、その始まりの問いかけ(言葉)が作り出してしまうということなのです。なるほどです。その背景には、「社会構成主義」の考え方があるのです。

 Tグループでは、トレーナーと参加者という関係も、ともすれば権威関係が生まれやすく、その関係の中でプロセスから学びが起こっていく可能性があります。その権威関係を乗り越えていくのもTグループの学びの一つだという考え方もあるかもしれません。しかし、ともすれば、その関係は、セッションを通して長く続いたり、そのことを乗り越えること自体が大きな学びの課題になったり、場合によってはその関係は最後まで残されることもあり得るのです。そして、その関係の中で生まれることは、自主的で、自発的な学びは起こりにくいと、これまでのつんつんの経験から考えています。

 本来、民主的風土づくりが主たる目的であるTグループでは、いかに対等で公平な関係をグループの中に創るかが大きなテーマなのです。社会構成主義を背景にしたナラティヴ・セラピーの問いかけは、Tグループを運営するつんつんにとって、とても魅力的なアプローチであり強く関心をもったのです。

 2つ目の考え方は次回にします。(つづく)