Tグループとは No.066 誕生から75年さらなる発展のためのパラダイムシフトに向けて:Marshakら(1994)のコヴァート(隠れた)プロセスモデル(Covert Process Model)(Part 4)

プリズムの中
 外部の観察者には、非論理的に見えたり、逆効果に見えたり、無意味に見えたりする行動も、実際には、特定の個人やグループのプリズムの準拠フレームから見れば、完全に論理的で、分別があり、十分に意図されたものであるかもしれません。

 実際に、ほとんどの人が意図的に行動していると仮定すれば、特定の個人やグループのプリズムの中に何が存在するかを知るためには強力な方法があります。それは、単純に問いかけることです。行動したり振る舞ったりした行為のもとにある意図や願い、信念を質問を通して理解することです。

無意識か影(シャドー)
 集団の無意識や影(シャドー)の中にあるコヴァート(隠れた)プロセスについて考えたり、探求したりすることは、セラピストやグループ・ファシリテーターでない限り、通常は何もしないと、マーシャックらは記しています。ただ、一般的な兆候を示すグループのダイナミックスを理解する手がかりやきっかけを以下のようなものから得ることができると述べています。

◎投影:自分やグループが望ましくないとか受け入れられない側面を他のメンバーやグループに帰すことです。
◎転移:グループのリーダーや強力なメンバーに、自分の過去の歴史や未解決の課題に関連した人物であるかのように応答をします。
◎抑圧または否定:何らかの感情や、ニーズ、思考を強く打ち消したり、否定したりします。魅力は、からかいや皮肉ような形で表現されてしまうようなことで起こります。
◎代償:ある否定された不足や恐れを補うために、何か特別な行動として不必要なリスクをとるかも知れません。
◎未開発の能力と相乗効果(シナジー):ポジティヴな能力、才能、創造性などが抑圧され、否定されるような場合、時々「それは私/私たちの一部ではない」と考えられて、未開発のまま忘れられてしまいます。
◎グループの声:グループのメンバーが思考、感情、またはニーズを表現することは、一見個人のためなのですが、実際には、暗黙のうちにまたは否定されているグループのダイナミックスを表すことになります。
◎象徴的な表現:無意識のダイナミックスが、鮮やかな言葉になったり、イメージや絵にしたり、ハミングなどで音楽の曲で表現される場合があります。

 マーシャックらは、コヴァートプロセスが存在することを知っていることは有用で、グループの効果性を妨げている程度に応じて対処する必要があると述べています。そして、グループのコヴァートプロセスに対処する決定は常にグループ及びメンバーに権限を与え、彼らの潜在的な能力および効果性を高めるために意図してなされるべきであると考えられています。すなわち、働きかけの目的・意図が、決して暴露することであったり、働きかけることが目的としてコヴァートプロセスを明らかにすることではないことを肝に銘じておく必要があるとも語ってくれています。(つづく)